【アルバムレビュー】overnight/showmore

showmore待望の音源は、『overnight』と冠されたミニアルバム。『夜通し』と訳されるアルバムタイトルどおり、夜から朝までの時間にぴったりな7曲が並ぶ。
夜といえば、暗い漆黒の闇をイメージするかもしれない。しかし彼らが描く世界にあるのは、ただ暗いだけの夜ではない。
白、黄、赤、紫、黒。彼らの世界は実にさまざまな表情を見せるのだ。夜だからきっとそれぞれの表情も鮮やかに感じられるのだろう。『overnight』の中にはそんな彼らの世界が広がっている。

まずぼくは根津まなみさんの歌声に驚いた。もちろんこれまでだって『circus』や『unitbath』といったデジタル配信の曲は聴いてきたし、YouTubeにアップされている楽曲も何度ともなく聴いた。しかし、そこにあったのはもはや別人の声だ。
声の温度や表情、テクニック、そのすべてが、これまで飽きるほどに聴いてきた彼女の声を凌駕していた。それはおそらくレコーディングがどうこうという問題ではないだろう。そこらへんのヴォーカリストと比較して、彼女の声は圧倒的に情報量が多い。その彼女の声が、YouTubeよりもデジタル配信、デジタル配信よりもCDのオーディオファイルに向いていたという話だ。その方向から考えても、彼らのマイルストーンとしてこのアルバムがリリースされた意味はあまりにも大きい。だってこれまでの環境ではその力の全貌を感じることができなかったのだから。

また楽曲に関しても、一切期待を裏切ることはない。井上惇志さんの正確無比なアレンジ。2人の見据える方向。そこには一点の曇りもない。リリースの前も後も、彼らは次世代シティポップの大本命なのだ。
おそらくこれまでの彼らのイメージにはないであろう楽曲『aurora(feat.田中光)』、チェロとのアンサンブルが印象的なバラード『have a good day』。これらの曲を聴けば、諸手を挙げて次のリリースにも期待することができる。リリースを重ねるたびに道を外していくミュージシャンが少なくない中で、彼らの作品『overnight』はシティポップ、ひいては音楽界に差し込む一筋の光だ。

根津まなみさん、井上惇志さんのそれぞれの活動。4人組バンドshowmoreとしての活動と再編。決して明るくなかったであろうと想像するに容易い彼らの活動は今にも明けていく。彼らは漆黒の闇の中にも色を見失わなかった。明るい場所での今後の活躍に期待せずにはいられない、『overnight』はそんなアルバムだ。

showmore 1st album「overnight」
DQC-1608 / ¥1,852+tax
【収録曲】
1. circus
2. rinse in shampoo
3. unitbath
4. aurora (feat.田中光)
5. 恋をした (Chara cover)
6. flashback
7. have a good day

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OTOTOY

※OTOTOYのみがwavファイルに対応。圧倒的にオーディオファイルで聴くのがおすすめなので、デジタル配信での購入ならOTOTOYをおすすめします。