【映画レビュー】四月の永い夢

『愛の小さな歴史』『走れ、絶望に追いつかれない速さで』で知られる中川龍太郎監督の最新作。
「今作のテーマのひとつが声」と監督が語るとおり、朝倉あきさんの声にひたすら引き込まれる映画だった。

中川龍太郎監督はいつも主役に据える役者のキャスティングがうまい。それは『愛の小さな歴史』における中村映里子さんも然り、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』の太賀さんも然りだ。
今作で初めて見た朝倉あきさんの演技は、声の温度が特徴的だった。この年齢(1991年生まれ、26歳)で冒頭のモノローグを演じきれる女優はそう多くはないと思う。富山でご飯を食べるシーンのテンションの高いセリフなど、気になってしまうところもあったが、これから先がとても楽しみな女優だ。

作品のテーマは大切な人との死別。中川龍太郎監督が実際に体験したことをもとに撮られている。ぼく自身も過去に大切な人を失くした経験があったので、監督の作品に込めた想いや、初海の心境に重なる部分も多かった。映画としてのクライマックスよりも、初海と沓子が過去を振り返って話し込むシーンが大きなみどころ。ぜひその境遇に置かれた人たちの気持ちを想像して観てほしいと思う。

中川龍太郎監督もまた、弱冠28歳。次の時代(今も十分すぎるほど活躍されているのだけれども)のサブカル邦画シーンを語る上で、絶対に外せない監督なのは間違いない。最近のテレビドラマやエンタメ邦画にはどうもグッとこない、そんな人は中川龍太郎監督の映画にぜひ触れてほしい。良質な脚本とはどういうものなのか。なぜテレビドラマやエンタメ邦画にグッとこないのか。その緒を掴むきっかけになると思う。

四月の永い夢公式サイト
中川龍太郎監督の過去の作品はこちらから

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